この記事はもともと韓国語で書かれ、日本の状況に合わせて翻訳・調整しています。
いびきをかく、寝ている間に呼吸が止まる——こうした話はたいてい、自分ではなく隣で寝ている人が教えてくれるものだ。だから一人で寝ている人、いびきをかかないタイプの人、あるいは隣の人が気づかない場合は——睡眠時無呼吸があっても、たとえ重症でも見過ごされやすい。 この記事は、いびきをかかなくても睡眠時無呼吸を疑い、検査を考えるべきサインと状況を整理する。
いびきをかかなくても安心できない理由
睡眠時無呼吸の重症度は、ふつう1時間あたりに呼吸が止まったり浅くなったりする回数(無呼吸低呼吸指数、AHI)で評価する。ところが、この数値と患者が実際に感じる症状との関係は、思ったより弱い。新たに診断された患者を分析したある研究では、眠気・睡眠の質・抑うつ・不安のスコアはいずれもAHIと意味のある相関を示さなかった。2つの値がどれだけ一緒に動くかを0(まったく無関係)から1(完全に一致)で表すと、症状スコアは最も強いものでも0.18にとどまり、ほぼ無関係に近かった。むしろ体格指数(BMI)だけが唯一、AHIと意味のある相関(0.33)を示した[1]。つまり、検査の数値が重くても、本人はほとんど気づかないことがあるということだ。
「睡眠時無呼吸は昼間に眠くなる病気」という通念も、半分しか正しくない。眠気は代表的な症状として挙げられることが多いが、この研究では眠気の程度(ESS)は無呼吸指数と相関がなく、眠い人と眠くない人の平均無呼吸指数にも差がなかった[1]。眠気がないことは、無呼吸がないことを意味しない。
いびきをかいていると自覚している場合でも、診断につながらないことは多い。最近の推定では、世界の30〜69歳の成人のうち約9億3,600万人が軽症以上の睡眠時無呼吸を抱えているとみられるが、医療体制の整った先進国でも、その大半はいまだに診断・治療を受けないまま過ごしている[2]。しかも無呼吸そのものは眠っている間に起きるため、本人は自覚できず、隣の人の目撃か検査でしか確認できない。
自分で気づけるサイン
数値(AHI)と症状の程度が別々に動くということは、裏を返せば症状が軽くても安心できないという意味であって、症状が無意味だという意味ではない。以下のサインは、無呼吸を診断したり重症度を決めたりする基準ではなく、検査を受けるかどうかを見極める手がかりと考えてほしい。いびき・目撃される無呼吸が隣の人に見えるサインだとすれば、これらは自分で直接感じられるサインだ。
- 寝て起きても、すっきりしない
- 日中に眠かったり、慢性的に疲れている
- 夜間、尿のために2回以上目が覚める(夜間頻尿)
- 寝ている途中に息が詰まって目が覚める
- たびたび目が覚め、眠りが浅い、または寝つきが悪い(不眠)
- 朝、頭が痛い
- 起きると口が乾き、喉がいがらっぽい
- 集中力・記憶力が落ち、頭がぼんやりする
- 理由もなく憂うつ・不安だったり、いらいらする
とくに女性は、いびきよりこうした形で現れることが多い。睡眠時無呼吸の患者を男女で比較した研究では、女性は朝の頭痛(50.0%対28.4%)、抑うつ気分(49.0%対19.5%)、むずむず脚症状を男性より多く訴え、疲労や夜間頻尿も多かった[3]。さらに女性は、自分がいびきをかいているという事実そのものを認めにくい。睡眠検査を依頼された患者の研究では、自分を「いびきをかかない」と答えた割合は女性28%、男性6.9%だったが、自称・非いびきの女性の36.5%は実際には激しいいびきをかいていた[4]。だから女性の睡眠時無呼吸は、不眠・疲労・うつと取り違えられやすい。
「肥満ではないから大丈夫」は、東アジア人にこそ危ない
睡眠時無呼吸は太った人の病気と思われがちだが、日本人を含む東アジア人は事情が少し違う。同じ肥満度でも、東アジア人は顎が小さく気道が狭い骨格のため、より重い無呼吸を示す。白人と中国人の患者を比較した研究では、BMIが同程度でも中国人患者の無呼吸のほうが重く、頭蓋顔面の骨格はより小さかった[5]。そのため世界保健機関(WHO)の専門家会合も、アジア人は欧米基準より低いBMIですでに糖尿病・心血管リスクが高いとみて、BMI 23を追加の「注意」基準点の一つとして提示した[6]。
日本のデータもこれを裏づける。働く日本人男性を在宅モニターで調べた研究では、中等症以上の睡眠時無呼吸(RDI 15以上)の有病率は22.3%に上った[7]。平均BMIが約23.7と、欧米(米国の研究では約28.5)よりかなり痩せているにもかかわらず、である。実際、同じBMIで比べると、東アジア人は肥満でない人での無呼吸の有病率が白人より高いことが報告されている[7]。つまり、痩せていても睡眠時無呼吸でありうる。
こんな病気があれば、いびきがなくても検査を考える
睡眠時無呼吸は心血管疾患の人にとくに多い。高血圧・心不全・冠動脈疾患・肺高血圧症・心房細動・脳卒中の患者では、有病率が40〜80%に達するという報告がある[8]。そこで、次に当てはまる場合は、いびきがなくても検査を考える。
- 薬を使っても十分にコントロールできない高血圧(とくに難治性高血圧)
- 心房細動などの不整脈(とくに治療・除細動後に再発した場合)
- 2型糖尿病、代謝症候群
- 脳卒中・一過性脳虚血発作の既往
- 心不全(息切れがある場合)、冠動脈疾患
- 肥満外科手術を控えている場合
米国心臓協会は、コントロール不良の高血圧、肺高血圧症、または治療後に再発した心房細動の患者に、睡眠時無呼吸のスクリーニングを勧めている[8]。
そして、これはまれな病気ではない。働く日本人男性の22.3%が中等症以上の無呼吸を抱えていたのに、研究の前に診断されていた人はほとんどいなかった[7]。
スクリーニングツール:STOP-Bang
睡眠時無呼吸のリスクを手早く見積もるとき、臨床で広く使われるスクリーニングツールがSTOP-Bangだ。トロントのUniversity Health Network(UHN)のChungらが手術前の患者で開発・検証したもので、従来のSTOP 4項目に体格指数・年齢・首回り・性別を加えたものである[9]。いびき・日中の疲労・目撃された無呼吸・高血圧(STOP)に、体格指数・年齢・首回り・男性(Bang)を加えた8項目を評価し、ふつう3つ以上で高リスク群とみなす。
自分で点数をつけてみるなら — STOP-Bangスコア計算機(MDCalc)→
STOP-Bangは見逃しの少ないスクリーニングツールだ。手術前の患者を対象としたメタ分析では、3つ以上のとき感度は全体の睡眠時無呼吸で85%、中等症以上で88%、重症で90%だった[10]。ただし、陽性でも診断ではなく、陰性でも安心はできない。 とくにBMIと首回りの項目は欧米基準なので、痩せた東アジア人は点数が低く出ても睡眠時無呼吸でありうる——前に見たように、東アジア人は肥満でなくても無呼吸が多いからだ[7]。
検査はどう受けるのか
睡眠時無呼吸の診断は、症状ではなく睡眠検査で行う。 日本では、まず簡易モニター(簡易検査)でスクリーニングし、確定診断には終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)を行うのが標準的な流れだ[11]。経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)治療が公的医療保険の適用となるのは、睡眠ポリグラフィー上で無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上[12]、または簡易検査でAHIが40以上の場合だ[11]。とくに重い心臓・肺の病気、神経筋疾患、脳卒中の既往、強い不眠がある場合は、簡易検査ではなく医療機関での睡眠ポリグラフ検査が勧められる[13]。
上のサインのいくつかが重なるなら、いびきをかかなくても、睡眠の専門外来で相談することを勧める。
この記事は一般的な情報であり、個別の医学的助言ではありません。ご自身の症状や既往に応じて、睡眠の専門医に相談してください。
よくある質問
いびきをかかなくても睡眠時無呼吸のことがありますか?
あります。いびきや目撃される無呼吸は隣で寝る人が観察するサインなので、一人で寝る人やいびきをかかないタイプでは、重症でも見逃されやすいです。診断は症状ではなく睡眠ポリグラフ検査(PSG)で行います。
痩せているから大丈夫では?
日本人を含む東アジア人は、顎が小さく気道が狭い骨格のため、欧米人より低い体重でも睡眠時無呼吸が起こります。痩せていても症状があれば検査を検討してください。
どんな病気があると検査を受けるべきですか?
コントロール不良の高血圧、心房細動、脳卒中の既往、心不全、冠動脈疾患などの心血管疾患があれば、いびきがなくても睡眠時無呼吸のスクリーニングを検討します。こうした心血管疾患では有病率が40〜80%と高いためです。2型糖尿病や代謝症候群があるときも検査を検討できます。
参考文献
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- Benjafield AV, Ayas NT, Eastwood PR, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698. リンク DOI 10.1016/S2213-2600(19)30198-5
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